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STAP細胞の騒動に思う事

現在、様々な疑惑が騒がれ、共著者の一人が他の共著者に撤回を提案したという時点。私自身は幹細胞の分野ではないが生命科学の分野に居る立場で、これまでの経過で感じた事を書いてみようと思う。

論文の公表時に思った事

iPS細胞は外から遺伝子を入れて働かしていたが、何らかの刺激で元々のゲノム上にあるそれらの遺伝子を上手く働かせる条件があって、それを見つけたのかな、というのが言われる結果に対する私の印象。胎盤にも分化するというiPSには無い性質もあるようだが、大筋では分化した細胞を幹細胞に戻す新しい簡便な方法を見つけた、という話と理解した。その意味では、分化した細胞を4つの遺伝子を働かせて幹細胞に戻せる事を示したiPSの結果のラインの上にある仕事で、幹細胞を作る応用面で簡便な方法という価値は高いが、基礎的な視点からは新しさはあまり感じられなかった。ノーベル賞はiPSに既に与えられているので、これをベースに画期的な治療法が開発されればあるかもしれないが、現時点でノーベル賞を言うのは騒ぎ過ぎだろう、と感じたし、割烹着とか研究と関係ない事で過熱する報道に研究者としてはシラケてしまう感もあった。ただ、酸の処理だけでそれができる、というのはどういう事だろう、これからどう発展するのか、という点は興味深かった。

疑惑が騒ぎ始められて

始めに、写真の使い回しが言われ始めた時は、単純ミスで、ちょっとかっこわるい事をしてしまったな、と思った。でも、後で差し替えるつもりで仮に置いた写真を差し替え忘れるとか、図を作り直している途中で、元に戻ってやり直したりしているうちに差し替えたはずが元に戻っている、というミスもあり得るので、そのようなもので、errataとして、訂正が出るのだろう、と考えていた。

しかし、次から次へとおかしな部分が指摘されて行く。複数の画像の使い回しや、文章のコピペが出るに至っては、問題の部分の作成を実際に担当したのが共著者たちのうち誰かがわからいが、研究倫理面が緩い人たちなのかな、と感じ始めた。実験手法の文章のコピペに関しては、実験手法のところは普通に書いても似たような文章になってしまうところではあるものの、あそこまでにはならないし、そもそも、元の論文があるなら、長々と同じ事を書いたりせずに、その論文を引用してその条件に従った、と書けば一行で済むし、変えた条件があれば、その条件だけ記載し、他は元論文通りと書けば良いし、それが一番楽だから普通の研究者はそうするところで、あんなコピペをする理由がわからない。利益相反の記述も不味かったようで、なんだかなぁ、だったが。まぁ、それでも結果が再現できれば、論文を書く時の倫理に関して厳しく叱られて、それなりの処分、戒告とか訓告とか、重くて短期の停職、、、そこまではいかないかなー、といった程度の事になるかもね、と見ていた。再現実験に成功した、という報道が出てきたところで、細かい調査は元の実験データやらノートやらを調べるのを、自分の本来の仕事も別にある人たちがやるので、時間がかかるだろうけど、そんなところに落ち着くかな、と。

最近の展開について

再現実験の結果についての報では、マウスの1週令を超えると効率が落ちる、とか。そうだとすると、もし、現象が本当に起きている事だとしても、応用上の価値はかなり落ちる事になるかも、と感じた。新生児の時に細胞を取って処理して保存しておかなくてはならないのではコストがかかりすぎる。騒いだほどのものではなくなる可能性が出てきたかな、という印象。

さて、ここに来て、ネズミの実験を担当した人が撤回を呼びかけ始めたとの事である。最初に疑惑が言われたネズミの写真の話では、その部分は共著者で、元の写真を渡したのなら、自分が担当した部分の図になるわけで、その人がチェックするべき部分で、彼にも大きな責任があるんじゃないか、と思っていた。責任著者とされている二人に最終的な責任があるとは言え。まーでも、その他にもあまりにあれこれ出てきて、自分の担当したところ以外のところが信じられなくなれば、そういう話になるわな、というところ。

一つの論文でこれだけたくさん問題が出てくると、ケアレスミスでは済まされない問題が背後にあると疑わざるを得ない。論文で言っている事が正しくて、それを示すデータを持っていれば、論文を掲載されるために人に見せるデータは適当に都合のいいものを持ってくればいい、という考えの人が少ないけれど居る。それは、完全なねつ造を向かう、一歩手前の行為なのだが。アメリカ側の同じ研究室からの論文で使い回しが疑われるものが見つかったという話を聞くにつけ、彼女はそのような怪しげな文化の研究室で育ってきてしまったのかな、と疑ってしまう。最近はコンピュータを使って、図の使い回し、文章のコピペはすぐに見つけられてしまう。このような問題は5年以上前に何度か問題になって、研究者なら知っているので、まだそのような事をする人が居るとは考え難いのだが。

今後。。。

最終的にねつ造となれば最悪。そうでなくても、ここ数年強調されてきたはずのねつ造やデータの不適切な取り扱い防止の教育を再度徹底する事をやっていかねばならず、学会のお偉方は頭が痛いだろう。本格的な調査の結果が出るには、理研がどの程度の体制を取ってやるかにもよるだろうけど、数ヶ月の単位の時間は少なくとも必要じゃないだろうか。

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